経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月21日 4:21 PM
事業収支計画を立てる時点で、所得税(デッドクロス)まで
考えた事業計画を立てることができれば、様々なリスクを
把握し、事前に対策を打つことができます。
4)長期計画を立てる(デッドクロスを踏まえた計画)とありますが、
これができればベストです。しかし、賃貸経営をしていても、
入居率や情勢、税制などの変化を予期することはとても
困難です。
全ての計画で、当初立てた計画から寸分の狂いもなく、事業を
遂行できれば誰も苦労しません。そこに予期せぬことが起きたり、
賃貸経営特有の経年に伴うリスクに頭を抱えるのです。
ですので、長期計画を立てられる際にも、賃貸経営をする上での
様々なリスク(空室や家賃下落、金利上昇など)を検討して
おくことが大切です。
その中で、どのような対策が立てられるか、ということが重要に
なります。無理な計画を立てるのではなく、最悪のシュミレーションの
中での対策を考えることです。
計画前ならびに計画段階で考えられることは、これまでに説明して
きたような内容です。
あとは、運営しながら様々な対策を考えること、他の資産との組み合わせ
にて対策を講じていくことが大切になります。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月20日 4:21 PM
企画段階で考えられることの一つとして、
3)返済期間を短くする
ということがあります。
返済期間を短くするということは、毎月の
返済額が多くなります。また、短期でのお借入
になると、その分1回の返済額に占める利息分
の割合も高くなるので、申告上経費として計上
できる分が多くなります。
この対策に関しては、借入を短期にすることで、
税務上のリスクは改善されると思いますが、
キャッシュフローは圧迫される恐れが高いです。
税務対策はできたが、肝心のキャッシュフローが
残らないという事業になっては、何をしているか
分りません。ですので、事業の計画段階できちんと
シュミレーションをした上で、何年で借入をするのか、
ということを明確にしておく必要があります。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月19日 4:18 PM
2)元金均等返済で借入をするとどうなるかと言うと、
このような返済方法になります。
借入返済額に対する元金の割合がずっと一定に
なります。申告計算上では経費にできる利息についても
将来に向かって大きく変化することがありません。
その代わり初年度から、借入返済額に対する利息割合が
元利金等返済に比べて少ないので、所得税対策効果は
薄くなります。
ということは、デッドクロスは早くくるということです。ただ、
図でも分かるように、元利金等返済に比べて経年とともに、
大きく利息が減少するということがないので、減価償却費が
少なくなってくる15年以降でも、所得税の負担が大きくなる
ということはありません。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月18日 4:18 PM
所得税対策をもう少し詳しく説明していきます。
まず、
1)自己資金を多くする
ということは、借入を少なくするということです。
多くの場合、新築で建てるときはフルローン(満額融資)
から総事業費の90%の借入をし、また収益物件を購入
する場合でも、総事業費の90%~80%を借入で所有
します。
では、自己資金の割合を増やして、借入額を少なくすると
どうなるかというと、元利金の返済額が少なくなります。
デッドクロスの原因となる元金返済の額も根本的に少なく
なります。ですので、キャッシュフローに対する影響が
小さくなるということです。ですので、自己資金を多くする
ことが所得税対策の一つとなるのです。
これは企画の段階で、事業計画を立てる際に決めておく
必要があります。運営が始まってからでは、自己資金の
割合を調整することはできません。
その場合は、毎年キャッシュフローを貯蓄して、繰上げ
返済に充てていくという方法になります。
このように賃貸不動産の運営が始まり、いざ所得税が
高すぎて・・・という状況になってからではなく、事業計画を
立てるときから様々な税金のリスクを考慮した計画にする
ことをお勧めします。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月17日 4:17 PM
所得税は先ほども言いましたように、賃貸経営においては
つきものです。では、デッドクロスが起きて、所得税が上がって
いくことに対して、どうすれば良いのでしょうか。
それにはきちんと対策があります。対策は大きく分けて二つに
分けられます。
①企画段階での対策
②運営段階での対策
です。
①企画段階での対策については次の通りです。
1)自己資金を多くする
2)元金均等返済で借入をする(但し、デッドクロスの時期は
若干早まります。)
3)返済期間を短くする
4)長期計画を立てる(デッドクロスを踏まえた計画)
②運営段階での対策をご紹介します。
1)青色申告をする
2)経費(損金)をつくる
3)保険(共済)などで経費をかける
4)繰り上げ返済をする
5)新たな減価償却資産を購入する(築年数の浅い収益不動産
など)
6)ローンのリスケジュール(返済期間延長)をする
7)ローンの借り換えをして返済期間を延長する
8)売却し、新たに購入する
9)内部留保をデッドクロスに備える
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月16日 4:00 PM
では、年々所得税負担が大きくなるカラクリを、
簡単なキャッシュフローツリーで説明していきます。
見るポイントとしては、手残り計算と申告計算では
経費に計上できる項目が変わってくるということです。
そこでの重要な項目が
・減価償却費
・元金の返済額
です。これを実際に数字でみていきます。
【手残り計算】
総潜在収入 810.0
▲空室損 45.0
▲滞納損 0.0
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実行総収入 765.0
▲運営費 121.5
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実際の収入 643.5
▲返済額(利息) 156.0
▲返済額(元金) 356.0
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税抜き前CF 131.5
【申告所得の計算】
総潜在収入 810.0
▲空室損 45.0
▲滞納損 0.0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実行総収入 765.0
▲運営費 121.5
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実際の収入 643.5
▲返済額(利息) 156.0
▲減価償却費 220.0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
課税所得 267.5
上記の図式のような計算式になります。手残り計算と
申告所得の計算では、青色で囲んでいる部分が
項目として変わってきます。
この項目が経年とともに同じように減少したり、同じように
増加するのであれば問題はないのですが、これが真逆の
動きをすることがデッドクロスの大きな原因になります。
この事例のように、手残り計算では手元に131万円しか
残っていないのに、税務署に申告する所得では、267万円
も利益が出たということで申告しないといけないのです。
こうなってくると何が起きるかというと、所得税を支払うと
赤字になる、ということが起きてきます。これを“黒字倒産”
と言います。
このようになる前に対策をきちんと考え、不動産経営をしていく
ことが大切になります。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月15日 3:53 PM
もう所得税に対して関係してくるのが、
(元利返済の割合)です。
金融機関からの借入をする場合には、返済方法が
大きく分けて2つあります。
①元金均等返済
②元利均等返済
です。これは選択することができますが、一般的には
元利金等返済を選ばれる場合が多いと言えます。
この選択により返済額に占める元金の割合などが
変わってきます。では、具体的にどのような動きになる
かは、図式を参照して下さい。
ですので、一般的に多く採用されている元金均等返済を
されると、最初は金利(利息)分を多く支払い、
年数の経過とともに元金割合が多くなる、という形に
なります。ということは、申告上経費としてみてくれる
“金利(利息”分がどんどん少なくなる、という構図に
なっているのです。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月14日 3:51 PM
(減価償却費)の動きをまとめてみます。
さきほども説明しましたが、減価償却費については
経年とともに減少していく動きをします。項目としては
大きく2つに分けられます。一つが設備と、もう一つが
躯体です。これは、金額が明確に分けられている場合は、
その内訳通りに按分することができますが、収益物件
などを購入する際には、分かれておりません。
そういう場合は、簡便法という方法で
「設備 : 躯体 = 30% : 70%」
という割合で按分します。
それが減価償却費の基準の価格となります。
償却方法については、躯体は“定額法”で償却していきます。
ただ、設備に関しては“定額法”もしくは“定率法”から選択
することが可能です。一般的には“定率法”を選ぶ場合が
多いです。
この選択により、償却の仕方が変わってきますので、
所得税対策などを考えながら、決めることが大切です。
経営の極意~所得税のカラクリ~ 2014年4月13日 3:51 PM
次はキャッシュフローツリーを分析していく中で
一つの大きなテーマになるのが、“所得税”です。
所得税はきちんと納めるべきものであり、ごまかして
節税をすることに対してはクエスチョンがあります。
ただ、不動産経営における所得税をきちんと理解し、
そのための対策を講じておくことは必要です。
不動産経営においての所得税は、経営年数が経過
すればするほど高くなってきます。これは誰が経営
しても同じようになります。しかし、それを理解して
対策をしているか否かで、キャッシュフローは大きく
変わってくるのです。
不動産経営における所得税を考えるときにキーワードと
なるのが、
(1)減価償却費
(2)借入利息(借入元金)
です。この2つの数値の変動により、所得税は年々高く
なっていくようになるのです。
それぞれについて詳しく説明をしていきます。
経営の極意~キャッシュフローツリー~ 2014年4月12日 3:50 PM
③ローン定数を簡単に言うと、“銀行への返済利回り”
です。表面利回りやネット利回りは投資した額に対して、
その投資で生み出す収入からどのくらいの割合で
回収できるか、という指標です。
これに対してローン定数は
銀行から借り入れた額をどのくらいの割合で返済して
いくことができるか、というものです。銀行への返済利回り
のようなものです。
ですので、この数値は低ければ低いほうがいいわけです。
この数値に影響を与えるのは、
・金利
・期間
となります。
金利は低い方が良いですし、期間は長いほうが良いわけです。
計画的に短期でのお借入をされる場合は別です。
ネット利回りからローン定数を差し引きしたものがキャッシュフロー
となります。
この指標を元に、借入条件が悪すぎないか、ということを
分析し、再検討することで、条件の見直しなどの対策が
必要かどうかが浮き彫りになります。