北岡剛介のブログ 優良な資産継承物語

今までの賃貸経営ではあまり意識してこられなかった

かもしれませんが、これからの賃貸経営で考えていかないと

いけないキーワードの一つに「退去リスク」があります。

今から20年、30年前は逆に「退去ビジネス」と言われるような

状態が賃貸経営の中で起きていました。

どういうことかと言うと、賃貸住宅の供給がまだ少なく、借り手が

溢れていた時代は、明らかに貸し手(オーナーさま)主導の

賃貸市場でした。ですので、年々家賃が上がっていたり、

退去したときの清算は借り手負担、次入居する方からは

家賃の6ヶ月や12ヶ月の敷金を預かるといった具合です。

このような貸し手主導のときは、退去リスクは少ないと言えます。

しかし、昨今の賃貸市場はこのバランスが逆転しております。

ということは、借り手に対して貸し手(賃貸住宅)が余っている

状態です。こうなると、オーナーさまにとって不利な状況になって

いきます。

いざ、最近の賃貸経営をみていくと、

・一度空いたら長期間空室のまま

・家賃を下げないと決まらない

・礼金、敷金がとれない

・仲介会社への広告料が増え続ける

・退去時の入居者負担額が少ない(国交省のガイドライン)

一度、部屋が空くだけでこれだけのリスクが発生して

きます。今まで、空室や滞納のリスク、金利上昇の

リスクなどについては対策を打ってきたオーナーさまも

おられると思いますが、これからはこの「退去リスク」に

対して対策を考え、アイデアを振り絞っていく必要が

あるのではないかと思います。

テナントリテンションを高めていく仕組みとして、もう一つ

効果的なことがあります。こちらから、そのマンションに

長く住めば住むほどメリット(快適な生活・充実した生活)が

ある仕掛けをすれば良いのではないかと思います。

ですので、例えば一年間、優良な状態でご入居頂いた方には

ポイントが貯まる仕組みをつくるのです。そのポイントを

還元してあげたらどうでしょうか。

例えば、ポイントが貯まれば、

・畳を交換

・キッチンなど部分的な専門家によるクリーニング

・旅行券

など100種類ほどのサービスに還元できる仕組みをつくって

おります。

家賃7万円のお部屋が退去して3ヶ月空くことを考えると、

それだけで21万円です。これが、このようなサービスに魅力を

感じて頂き、滞納もなく長く住んで頂けることで、退去リスクの

回避と次の入居促進にもつながります。1ヶ月でも早く入居が

決まればそれだけで7万円利益が増えるのです。そのための

サービスにいくら投資をするか、ということです。

これからの賃貸経営では、滞納リスクや空室リスクはもちろん、

退去リスクも増えてきます。

オーナーさまの立場で考える退去リスクとは、

①空室増加

②次回募集の家賃下落

③リフォーム負担

※敷金・礼金の減額傾向と入居者負担割合の減少

④募集促進費用の増大

⑤入居者の質低下

など様々です。

このような退去リスクを少しでも小さくし、1日でも長く住んで

もらえるサービスをオーナーさまご自身で考えて、実践して

いく必要があります。

キーワードは「家賃」です。

家賃と言っても、家賃には大きく3つの家賃が

存在します。

(3つの家賃)

①安売り家賃

②適正家賃(相場家賃)

③ターゲット家賃

無  題

 

図式にもあるように、オーナーさまはこの3つの家賃が

あることを認識することから始まります。一般的なオーナーさまは、

家賃が下がった、家賃が下がったと言っておりますが、

その家賃はどの家賃のことですか、と不思議に思うことが

あります。

ここで問題が起きてくるのが、

「募集家賃 ノットイコール 適正家賃」

という現象です。オーナーさまの中には、ここを間違って

認識している方が多いように思います。今募集をかけている

家賃が適正家賃であり、相場家賃だと勘違いされているのです。

私は家賃を下げることはお勧めしません。しかし、ここで言う

“家賃”というのは、“適正家賃”という意味です。ですので、募集家賃

から下げないのではなく、適正家賃から下げないということです。

あとは、オーナーさまがどの入居者層をターゲットにこの先

経営していくのか、という方針により変わってきます。

家賃を5,000円までなら下げて、それで満室にするぞ!とか

家賃は下げずに、100万円投資をして7,000円家賃を上げるぞ!

どちらも正解です。

計画を立て、キャッシュフロー分析のもとで、家賃を下げて募集をする

とか、投資をして価値を上げていく、ということを戦略的にすることが

大切なのです。

家賃を下げるか、投資をして家賃を上げる(キープ)するか

で経営は変わります。

しかし、家賃を下げて空室を埋めようとするオーナーさまが

非常に多いように思います。なぜか。

それは、簡単だからです。手っ取り早いからです。また、仲介

会社の営業マンは、

「○○オーナー、家賃を3,000円下げたら決まりますよ!」

とすぐ言ってきます。オーナーさまも、それで決まるなら良し

にしよう、と家賃を簡単に下げます。

しかし、よく考えてください。一度下げた家賃を上げることは、

2倍も3倍も努力と工夫が必要なのです。

ここで勘違いをしてほしくないのが、

“賃貸経営は何もしなければ必ず家賃(価値)は下がる”

ということです。これはどんなオーナーさまでも同じです。

だから、何もしないオーナーさまのマンションの家賃が下がる

ことは決して珍しいことでも、不思議なことでもありません。

当然のことなのです。

では、そのまま家賃を下げ続けるどうなるのか。考えるだけでも

ぞっとします。そのようにならないように、定期的に投資をして、

家賃が下がらない工夫をする、もしくは入居者に選んでもらう

ような努力をして家賃を1円でも高く貸していく工夫が必要に

なるのです。

ここから大切になるのが、「家賃」というキーワードです。

最近の賃貸住宅利用者の意識傾向としては、

家賃が少し上がってもこだわったお部屋に住みたい、

という方が増加しているみたいです。

ここ数年で“リノベーション”や“DIY”という言葉が

一般的に用いられるようになりました。それまでは、

賃貸経営においてこの言葉はまだまだ浸透して

おりませんでした。このような動きを考えてもこれからの

人々は、リノベーションやDIYということに興味がある。

一戸建住宅や分譲マンションに住む人だけでなく、

賃貸住宅に暮らす方々も同じ傾向です。

ですので、賃貸住宅で退去を機にリノベーションすると

家賃が10%ほど上がっても入居が決まるのです。

しかし、今までのリノベーションはオーナーさまや管理会社、

リフォーム会社が一方的にお部屋を作っておりました。

住んでくれるであろう入居者の世代やターゲットを明確にし、

コンセプトをつけたリノベーションをきちんと施工して

くれていればまだ救いはありますが、ただ部屋を綺麗に、

ただ間取りを変えて、良い設備を入れ替えるというような

リノベーションがまだ主流です。

それでも今は、そのような賃貸物件が少ないので、

入居は決まると思います。しかし、これも供給が増加して

きたときには厳しくなると思います。そこで、一方的に

綺麗な部屋や過剰な設備を提供するのではなく、

入居者に選んでもらう、入居者自らコーディネートする

リノベーションがこれからのテナントリテンションという観点で

みたリノベーションには必要になってくるのではないかと

考えています。

最近の賃貸におけるお部屋探しは、入居希望者からみると

とても受身の状態となっております。昔から比べると

インターネットが普及してきたため、少しは改善されて

きていますが、まだまだ受身だと感じております。

受身が良くないということではなく、そこを改善することで、

テナントリテンションという観点で改善することができると

考えています。

どういうことかと言うと、入居者が受身で賃貸のお部屋を

探していると、その部屋に愛着が持てません。そんな

お部屋は市場にいくらでもありますので、ちょっとしたことで

引越しということにつながります。

そうではなく、入居者が参加型でお部屋を探せるという

ような形に変えていくことが大事ではないかと考えています。

お部屋に愛着を持ってもらい、そのお部屋の代わりは他には

ない、と思わせることができれば、○だと思います。

そのような仕掛けの一つとして、

「壁紙・床材・キッチンシートを入居者に好きに選んでもらおう!」

ということをしています。

このようにすることで、入居者は内覧の段階から、ただ案内される

だけでなく、お部屋の中で

「あーでもない、こーでもない。こんなイメージがいいよね!」

といったように想像をしていきます。これが大切なのです。

そして実際住むときには、自分の好みに合った、そこにしかない

お部屋に住むことができるのです。

私が最近オーナーさまに口すっぱくお伝えしている

ことがあります。それは、

「これからの賃貸経営では、今までのように空室ができると

原因を分析し、対策を立て、実施する力は最低限必要です。

それ以上に大切になるのが、テナントリテンションを高める力

です。」と言って廻っております。

テナントリテンションとは、

“借りてもらう期間を延ばす”ということです。一度入居して

もらったら、1年でも長く、1ヶ月でも、1日でもというのが

オーナーさまの心情だと思います。

今までの賃貸経営では、

それは入居者の都合次第で、こちらではどうすることも出来ない!

と思っていませんでしたか。確かに、転勤などやむを得ない理由は

あると思います。しかし、オーナーとして何もせず、入居者の気分

次第で入退去を繰り返すような経営では、これからの賃貸市場で

生き残ることは難しくなってきます。

では、どうするのか。

それは、1日でも長く住んでもらえるような仕組み、サービスを提供

していくことです。賃貸経営は貸し手市場、リフォームすれば家賃

そのままで入居が決まる、というような話は過去の栄光です。

そこで、ここからは実際に賃貸管理などを通じて実践してきたことを

ご紹介させて頂きます。

所得税対策として効果的なことが、

資産を組み合わせるということです。

もう少し説明すると、資産を組み合わせることで、

新たな減価償却を加えるということです。

減価償却費は以前もご説明したように、税務上

経費として計上することができます。

また、一般的には経年と共に減少していきます。

ですので、年数の経過に伴い新たな経費を

つくる必要があります。

そこで、新たな資産を購入するのです。新たな

減価償却費を購入するという考え方です。

減価償却費が増えると、税務上のキャッシュフローは

圧縮でき、税金を抑えることができます。

資産の組み合わせにより税金を圧縮すると共に、

新たに増えたキャッシュで先の賃貸不動産の繰上げ返済に

充てていきます。繰上げ返済をすれば、税金対策にもなり、

キャッシュフローがどんどんまわっていきます。

このように資産を上手に組み合わせて、資産全体で

考えていくことが大切です。

簡単に説明すると、個人事業主でできる対策として、例えば

1)青色申告特別控除

2)小規模企業共済

などがあります。これはごくごく一般的な例です。

青色申告特別控除については、さきほどご説明をした通り

です。

小規模企業共済については、掛金月額は1,000円~70,000円

の範囲内で自由に選べます。払い込み方法も月払いか半年払い、

年払いから選ぶことができる共済制度です。

掛金については、全額課税対象から控除することができます。

気をつけないといけないのが、実際に手元からその分は支払わないと

いけない、という点です。

共済金を受ける際は、その発生事由により様々ですが、こちらからの

解約申し出については240ヶ月以降であれば、掛金を割ることは

ないかと思います。

共済金の税法上の取り扱いは、事由により退職所得扱いと一時所得扱い

に分かれます。ちなみに、解約を申し出た場合には、一時所得扱いと

なりますので、計画的に実施することが大切です。

所得税対策として次に考えることは、運営が

始まった状態でいかに対策をするか、ということを

考えることが大切になってきます。

まず個人事業主であれば誰でもできることとして、

1)青色申告

があります。これは、毎年65万円を経費として計上

することができます。事業的規模としては、10室もしくは

戸建の場合は5棟という基準があります。この基準を

満たしているオーナーさまであれば、個人事業主として

青色申告をすることができます。

同じような考えで、所得税を抑えるためには

2)経費をつくる

ということもあります。経費の場合は、実際に出ていくお金

と減価償却費と言われる、実際には手元から出ていかない

お金があります。

また、個人と法人では違った対策を講じることができますので、

その点について詳細にみていきます。